NPO活動において資源を集めるのはいつも難しいものです。しかし、資源がなければ活動を継続することができないのも確かです。そこで資源を集めるためにも共感を広げるコミュニケーションを行うことが必要になります。あなた自身が立ち上げった理由や社会課題が解決されないことによって社会で何が起こっているのかをありありと伝えることができれば、ただお願いするよりは活動の協力をしてくれるかもしれません。ここではコミュニティオーガナイジングの理論を用いて共感についてお伝えします。お伝えするのは以下のものです。
・パブリックナラティブ
・関係構築
・アクションにおける4つのC
パグリックナラティブとはコミュニティオーガナイジングを体系化させたマーシャルガンツ博士が作り出した造語です。パブリックナラティブは文字通り、公の語りです。公衆の面前の前でスピーチするときはもちろんですが、自分自身が公的な関係として私的な思いを伝えるときには一対一のミーティングでも活用することができます。
パブリックナラティブは3つのストーリーを組み合わせることで作られます。
①ストーリーオブセルフ
②ストーリーオブアス
③ストーリーオブナウ
①ストーリーオブセルフ
セルフは自分自身のお話です。「なぜ私は立ち上がったのか?」「私の価値観は何か?」あなた自身の人生における選択の瞬間を描くことで伝えます。例えば、桃太郎は村の平和を守ることが大切であったから鬼を退治することを選んだのかもしれません。その背景には村に住んでいるおじいさんとおばあさんが自分のことを大切に育ててくれたことが背景にあるかもしれません。
あなたの人生にはどんなストーリーがあるでしょうか?就職、進学、NPOの立ち上げ。他にもきっと無数の選択の瞬間があったはずです。あなたの価値観を人生の選択の瞬間を通じて描くことがストーリーオブセルフの要点です。
②ストーリーオブアス
アスはセルフが「自分の物語」であるのに対して、アスは「私たちの物語」です。あたなの活動を通じて解決したい問題が私たちのであると感じなければ、他の人があなたの問題解決に協力してくれるのは難しいかもしれません。「なぜ私たちは立ち上がるのか?」をストーリーを通じて描くことが重要です。
このストーリーを語る前提には「問題を共有している」というのがあります。例えば、いじめが原因で自殺した生徒がいる学校の現場を変えるための活動を行うために誰かを巻き込もうとするとき「いじめはだめだ!」と訴えるよりも「学校に行くたびに誰かを憎むよりも、学校を通じて誰かを愛せるようになることが大切ではないですよね」と伝えてみるのはどうでしょうか?
おそらく共有しているであろう価値観をストーリーを持って伝えることができれば、あなたの活動に共感してもらえるかもしれせん。
ポイントは共感を作ることではなく、そこにあるものを明らかにすることです。
③ストーリーオブナウ
いくら共感ができても人はなかなか動くことが難しいです。「それは重要なことなんだけど・・・」といって取り掛からないことは誰にでも経験があるはずです。そこでストーリーオブナウを通じて私たちは問題を解決することへの緊急性を語らねばなりません。
例えば、先ほどのいじめの例を使って話すと「今日も誰かが死んでいます。次にまた誰かが死ぬかもしれません」と伝えるよりも「〇〇中学校の屋上から〇〇さんが飛び降りた事件が先日ありました。次はあなたのお子さんが飛び降りるかもしれません。」と伝える方が緊急性を高めることができます。ポイントは「今、動かなければならない理由」を相手の頭の中に映像として写すことです。
緊張するかもしれませんが、頑張って伝えてみましょう。
関係構築は日常的なコミュニケーションではなく、価値観で人と繋がることを目指します。特に、関係を作るとなったらとりあえず居酒屋へ行くということも考えるかもしれませんが、話の内容が大切です。ここでは関係構築について学んでみます。
関係構築では以下の5つのステップを踏みます
・注意を引く
・興味、関心を伝える
・共通する価値観を探求する
・資源を交換
・コミットメントを得る
まず、コミュニケーションでは、相手がこちらと話をする準備ができているかを確認します。もし、できていなければ注意を引きましょう。例えば「以前、〇〇について活動をしているとお聞きしました。」と伝えてみるのはどうでしょうか?それによって相手の注意を引くことができたら、「なぜあなたと話したいのか?」「何を話したいのか?」を伝えましょう。これが興味を引く段階です。
次は探求に入ります。ストーリーオブセルフであなた自身の選択の瞬間を描いたのと同じように、相手の選択の瞬間について聞いてみましょう。「なぜNPOを立ち上げたんですか?」「なぜその活動をしようと思ったんですか?」というように「なぜ?」と聞くことでその人の選択の瞬間が浮かび上がってきます。
最後に、共有する価値観がいくつか見つかったら「今後どのように活動を共にできるのか?」「どのような資源をお互いに提供することができるのか?」を確認しましょう。これによって次はリソースを提供してくれるかもしれません。また、必要であれば次回の関わり方を約束しましょう。例えば、もう一度関係構築の機会を取るのか、具体的な戦略について話すのか、タイミングが来たら連絡するのかなど必要に応じて、必要な約束が変わります。しかし、理由がないとなかなか関わることもないのでできる限り具体的な約束を取り付けることをお勧めいたします。
アクションというとわかりにくいかもしれませんが、あなたがイベントを行う際に人に参加してもらう活動をアクションと読んでいます。あなたがNPO活動をする中で作り上げた戦略に人を巻き込むためのスキルです。関係構築は主にチームに人を引き込んで深くコミットしてもらうためのすべですが、アクションは短時間で相手を活動に引き込むための手法です。
そのアクションのポイントとなる4つのCがあります。
・Connection(つながりをもつ)
・Context(背景)
・Commitment(コミットメント)
・Catapult(背中を押す)
まず、つながりを持つ必要があります。初めての接触の場合は特に重要なパートです。あなたのストーリーの一部を語り、なぜその活動にコミットメントしているのかを簡単に出会っても理解してもらいましょう。続けて、背景についても同様です。これからあなたが巻き込もうとしている活動はどんな未来のためになぜ行われる活動なのかを語りましょう。イメージでいうと感情的、抽象的な話はつながりを作る段階でお話をし、戦略的、具体的な話は背景を語る際にお話しすると良いでしょう。
続いてコミットメントですが、相手のコミットを確認した際に一番良くない返事は「行けたら行きます」という曖昧な返事です。この場合、断るならこの場で断ってもらいましょう。逆に、来てもらうなら残りを集める人数にも影響を与えるので明確に行きますと行ってもらう必要があります。ここは曖昧さを残さずに何月何日の何時からの会に来てもらうのかを確認しましょう。
最後にカタパルトという聞きなれない英単語ですが、やることはシンプルです。「あなたの他にどなたかこの活動に関心を持ってくれそうな人はいませんか?できたらその人に声をかけてもらうことは可能でしょうか?」と伝えるだけです。忙しくて断られたとしても活動に共感してもらえていれば誰かにあなたの活動を伝えてもらえるかもしれません。最後まで諦めずに話しましょう
いかがでしたか?以上が共感を広げるコミュニケーションの概略になりますが、より詳しく知りたい方は以下のサイトをご確認ください。あなたの活動の共感が広がることを願っています。
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